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ストレートプレイ

『真白の恋』〜世界で最も美しい湾〜朗読劇

『真白の恋』公演情報

【東京公演】
  竹芝ニューピアホール
  2022/11/3~11/5

【富山公演】
  氷見市芸術文化館
  2022/11/26

『真白の恋』上演時間

上演時間 約75分

『真白の恋』キャスト・スタッフ

キャスト

渋谷真白・・・早見あかり
油井景一・・・浦井健治(11/3、11/4)
       廣瀬智紀(11/5、11/26)
渋谷雪菜・・・愛加あゆ
渋谷晴臣、愛犬タモ・・・西村まさ彦

『真白の恋』東京公演レポート(Wキャスト浦井健治)

舞台の両端に2脚ずつ椅子が並べられている。
下手より白い服に身を包んだ4人の役者が登場し、お辞儀をすると拍手が起こる。
“これぞ、朗読劇“という感じがした。

主人公である真白の初恋の相手となる油井景一役の浦井健治さんの語りで物語が始まる。優しい口調と柔らかな佇まいに、会場は一気に物語の舞台である富山県氷見市に変わった。まるで油井と一緒に列車に乗って海風を感じているようだった。

西村まさ彦さん(富山県出身だそうです!)演じる真白の愛犬タモ。意外だったがタモ目線で語られる真白の生活は笑いもあり、物語の中にすっと入ることが出来た。父親役を演じるときはまた違った声色で、違った雰囲気を纏って物語を引き締めていた。

愛加あゆさん演じる従兄弟のお姉さんは思ったことをズバッと言う、良いキャラしてるタイプの姉御肌。感情的になり涙する場面はとても緊張感があった。

そして主人公、真白を演じるのは早見あかりさん。どことなくぶっきらぼうな話し方、でも真っ直ぐで純粋な言葉を発する。

思ったより油井は優しくて好青年。東京での仕事を断られたり、自分でも周囲とぶつかることも多いと話しているが、真白に対して悪意を持って近づいているようには思えない。でも、それなりの若い男が若い女の子に近づくというのは、下心があるのが普通なのだろうか。

朗読劇の中で語られている話では、もちろん二人の間にやましいことはない。間違いなく、真白は油井に恋をしていて、油井は真白に恋はしていないかもしれないけれども。従兄弟のいう「誰にでも恋をする権利がある」というのもわかる。お父さんのいう「真白は普通じゃない。親が守ってやらないといけない」というのもわかる。油井の「軽率なことをした」という気持ちもわかる。でも、油井と写真を撮ったりカフェに行ったりした時間は、真白にとってはかけがえのないものだったとも思うし、誰にでもそういう経験があって欲しいとも思う。

朗読劇だからこそ、言葉の一つ一つに集中し、観客それぞれが情景を思い浮かべて想いを巡らせていた。ストレートプレイやミュージカルを観ている時とは違った感情を動かされた。

最後は油井は東京に戻り、真白はここで良いと現実を受け入れ一つ大人になる。それを優しく見守る家族。人は生きて行くのにいろんな障害を乗り越える。誰かを純粋に好きになったり、心配したり、笑ったり、泣いたり。どうすることが一番正しかったのかと考えていたけれど、もっと自分の気持ちに素直にいられたら良いんじゃないかという気持ちになった。どんなことでも、笑って、泣いて、時間が経てば思い出になっていくのかもしれない。

あとがき

映画は未視聴で朗読劇を観ました。舞台を観ることが決まっている場合は、先入観を持たず劇場の空気を感じたいと思っているので、原作にはあまり触れずチラシに載っている情報を頭に入れるくらいのことが多いです。観終わった後、やっぱり情景が見たい!と思い映画を観ました。